少し前に夏季限定トロピカルパフェ事件読んでから、米澤穂信さん
の作品を集めて読んできました。
後1、2冊はまだ購入さえできてませんが、一応買ったものを全て
読み終わり、なかなかの好感触を得ました。
春季限定イチゴタルト事件・夏季限定トロピカルパフェ事件の
小市民シリーズ。
氷菓・愚者のエンドロール・クドリャフカの順番の古典部シリーズ。
犬はどこだ という探偵(?)もの。
いずれも軽くて肩肘張らないのに読み応えと言う意味では十分ある
おもしろい作品ばかりでした。
特にクドリャフカの順番は、個人的にちょっと痛いといいますか
心に小骨が刺さったような感じが残り、印象深かったです。
既刊本も手に入れ次第読みたいですが、小市民シリーズの新刊も
楽しみです。
・氷菓
表題の謎を解いた時、納得と衝撃とが混ざった感じのため息がでま
した。
何事にも積極的には関わろうとしない”省エネ”少年・折木奉太郎
は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され日常に潜む不思議
な謎を次々と解き明かしていくことに。
という紹介文でもわかるように、この本では人は死にません。
もちろん、誰かが刺されて怪我するとか言うのもありません。
日常の謎を、シャーロック・ホームズがワトソンに解説するような
感じの解き方をするような話です。
メインの話は、古典部メンバー千反田が古典部に入る事になった
理由である”千反田の叔父から聞いたコテンブにまつわる話が何で
あったか知りたい”という事で過去になにがあったかを調べていく
のです。
最近では学園ミステリーといえど、すぐに人死がでて探偵役の主人
公が通っている学校関係者や友達はほとんどが犯罪者か被害者とい
うのも割りとあったりするのですが、その中でこういうのは貴重か
と思います。
・愚者のエンドロール
その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り
落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全
てがあからさぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気
になる千反田は、仲間の折木奉太郎達と共に結末探しに乗り出した。
密室殺人の謎を解く・・・・ミステリでは王道ですが、この話の
本道として自主制作映画の途中まで作った(少年が腕を切り落とさ
れ死んでいる)以降の話を考えてくれというもので、シナリオを
書いていた人物が、撮影途中でダウンしリタイアしたから続きは誰
も知らないという状況で進んで行きます。
撮ってあるところまでの謎解き・辻褄あわせ。そして元々のシナリ
オを書いた人物がどういうシナリオを考えていたのか。製作側の
スタッフや、古典部のメンバー各自の考えとかいろいろな考えが
出された後、奉太郎がこれだろうという話を持っていくとこの盛り
上がりは、なかなかにうまいかと。そして・・・その後の真実。
ここの落差感はちょっと癖になるとたまらないかもです。
・クドリャフカの順番
詰め込んであるネタの多さ、シリーズ”氷菓”・”愚者のエンド
ロール”を活かした設定・構成。見事です。
やっときた文化祭。古典部も無事に発刊できる運びとなった文集
”氷菓”を出すのですが、まず最初からつまづきが。そして、
それを何とかしようと奔走する面々。奉太郎は彼らしく部室で
一人文集を売っているのですが、この人はそういう星の元に生まれ
たのでしょう。わらしべ長者のごとく本を売る傍らいろいろ手に
入れて行きます。
そして起きた「十文字事件」、文化祭に参加している部活から、
部活名の頭文字にちなんだ物が盗まれるという。そしてそれは
五十音順の十文字まで・・・・つまり最後は古典部から何かが
盗まれる可能性が!
十文字事件の解決・真相。大量に発注してしまった文集を完売する
事ができるのか。このへんが話のメインであり、おもしろくいい
出来ではありますが、個人的に思うとこがあったのが、この話の
犯人の想い、マン研の先輩の想い、古典部メンバー3人の想い。
憧れそれに向かって自分を高めようとがんばっているそのそばで
圧倒的な才能を見せ付けられ、しかもその本人は、その事には全く
執着していないという。それが悔しくあきらめきれずに努力しても
うまくいかずに・・・自分の若い頃の事を思い出したりします。
各人の気持ちの落ち着けどことろか、なんともせつなくなります。
・犬はどこだ
主人公 紺屋は病気で仕事をやめて田舎に帰り、半年後、生活の
ためやむなく調査事務所を開くことになる。
そこに、舞い込んできた依頼。失踪した娘を探してくれという。
そして、雇ってくれとくる探偵になりたかったという学生時代の
後輩や田舎の役所からの文献調査等。
なかなかにおもしろかった。前半はいろいろ調査が進まなかった
り、人が結構出てきたりで、読むのが億劫だったんですが、中盤
以降今までの伏線・人の謎が一気にまとまり始めてからは、おもし
ろく、また緊迫した盛り上がりもあり一気に読めてしまいました。
相変わらず、表題と中身の意味づけがいいです。主人公たる紺屋は
調査事務所を開くのですが、調査事務所と言っても犬探しが専門。
学生時代のバイトでやったことがあるからという理由ではじめます。
そして雇ってくれと来る、探偵志願の後輩。探偵というものにこだ
わりがあるのに、やはり実地が追いつかないがゆえの、読んでる側
からみたもどかしさがうまく作品の後半 謎解き部分の爽快さに
繋がってます。
読み終わって、最後の独白部分とタイトルを見てまたにやりと・・・
最近のコメント