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2009年4月29日 (水)

“文学少女”見習いの、初戀。 野村美月 ファミ通文庫

まず、この表紙の娘は誰だ?と興味を持ち、自分のことを”殻を破る雛”に
例えた冒頭の文章、”あの時”の心葉を見た心情。ずっと作品を追いかけて
きた人にならわかる共感。
メインの語り手は心葉ではなく、新入生で心葉に一目惚れをした菜乃。
その娘から見た、遠子先輩と別れた後の心葉の様子が、菜乃自身の恋心ととも
に綴っていきます。
菜乃が最初に告白するまで、まるで少女漫画のような感じですが、菜乃が
惹かれている心葉というのは、遠子先輩を想う心葉なんですよね。
菜乃も読者も同じ目線で、遠子いた時間、言葉を思い返してる心葉を見て
せつなくなって何とかしてあげたくて惹かれていってるのだと思います。
心葉が菜乃と出会った場面、木の下でメモを咥えている菜乃を見て固まってい
る心葉。ここは、是非じっくりと読んで時間をおいてイラストを見ながら時間
をおいて次にいってほしいかと。
高校に入学してきた心葉が木蓮の木の下で、本を食べる先輩、天野遠子と出会
った場面とほとんど同じに見えたでしょう。菜乃はメモを咥えていただけですが
心葉にとってそれはいつか見たことであり、思い返したことも何度もあり、
そして・・・まさか同じような”文学少女”がいたのかという驚きで固まってい
る彼の心情というのが、とても、とても、心に響きます。
文芸部に入った菜乃が見る心葉の表情、何かを語るときの口調も、読む側に
とっては、もうたまらなくせつなく懐かしい気分になります。
そういう、感傷的な話の流れは遠子先輩のことをすごく想っている心葉にうち
のめされた菜乃が、それでも負けないと決意して書いた三題噺で告白した事で
一番の盛り上がりを迎えます。
その後は、地をだしていった心葉と、しつこくあきらめずに心葉につきまとう
菜乃がいる文芸部の日常が、遠子先輩がいた頃とは違う良い思い出になりそう
な感じで綴られていき、タイトル通り”文学少女(見習い)”の菜乃が、いつ
もの文学少女シリーズと同じく事件に巻き込まれていきます。
今回のお題は「曾根崎心中」。他の近松の心中ものも含めた「心中」というの
が話の肝です。
解決するために、麻貴先輩をたよって菜乃が脱ぎかけたりとか、なんだかんだ
言って心葉が「見捨てない」と菜乃に協力して解決のために奔走したりと。
文学少女シリーズでのいわゆる説得シーンでは、”文学少女”たる遠子先輩は
物語と、作者と、いろいろ話して聞かせてくれましたが、今回は”見習い”の
菜乃。菜乃が物語と作者について詳しく話せるわけがないですが、人の心情と
いう部分で説得にかかります。
この辺、心葉の攻略も同じで、遠子先輩と同じようになっても遠子先輩に代わ
ることも、それ以上の存在にもなれない。違う方法で、違う魅力で自分の存在
を大きくしていくのが良いんでしょうが・・・まぁ、後のこと知ってるとなん
ともねぇ・・・。
これで、終わりかとおもいましたが、屋上で菜乃に心葉が、言い放ちます。

    「日坂菜乃さん、ぼくはきみが、大嫌いだ」

日坂菜乃の初戀物語はもう少し続くようです。

で、最後、今回こういう話なのに出てこないのかな-と思ってた彼女の登場。
ふふふ、あぁそういう反応しますかとw

“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫 の 2-8-1)

イラスト:竹岡 美穂
参考価格:¥630
価格:¥630
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